【高麗人参(朝鮮人参)概要】 【健康食品】
高麗人参(朝鮮人参あるいは薬用人参ともいう)には滋養強壮サポ-トがあって、種々のストレスに対する体の抵抗力を高めます。 各種の腫瘍によって引き起こされる食欲不振や体力減退、腫瘍治療後の身体衰弱や抵の低下の改善に有効で、腫瘍の漢方治療においても頻用されています。腫瘍の予防や再発予防にも有効であることが多くの研究で示されています。 高麗人参を蒸した後に熱風乾燥して作った「紅参(こうじん)」にはがん予防効果が特に強いことが報告されています。 血液循環が悪く体力や免疫力が低下している人の腫瘍再発予防に向いており、元気が有り余っている人や体の中に炎症がある場合(熱がある時など)には不向きです。
【高麗人参は万能薬】 【健康食品】
高麗人参は朝鮮人参や薬用人参と呼ばれ、昔の高麗国(朝鮮半島)に自生していたウコギ科の(ウドの仲間)多年草で、多くの栄要成分を含む根が、古く4ー5千年前より不老長寿の薬草として使用されてきました。 人参の学名はPanax ginsengといいますが、このPanaxという属名はギリシャ語のPan(万
能)とacos(薬)から名付けられたものであり、ヨーロッパでも古くからその多彩な薬効が注目されていたようです。 なお、野菜のニンジンはセリ科の植物で全く別のものです。
人参の臨床的サポ-トは、消化吸収機能を賦活化し、種々のストレスに対する生体の非特異的抵抗性を強くすると考えられます。 蛋白合成や新陳代謝や血液循環を高め、血中の免疫グロブリンを増加させ、マクロファージ(体内の異物を細胞内に取り込み消化する食細胞の一つ)や好中球の貪食能を高めて免疫力を増強します。 男性ホルモン増強作用、細胞寿命延長作用、抗腫瘍作用、精神安定、精神賦活作用なども報告されており、まさに自然治癒力を高める全ての条件が含まれています。 ソ連のブレフマン(Brekhman)教授は「種々のストレス刺激に対する非特異的な抵抗力を増し、生体の働きを助ける」作用から、薬用人参をAdaptogen(適応促進薬)と呼びました。イギリスのフルダー(Fulder)博士は「生体の生理機能を調和させるハーモナイザー(調和薬)」であるといっています。
漢方では、高麗人参は「気」の量を増す薬(補気薬という)の代表です。「気」というのは、生体エネルギーを表わす漢方の考え方で、気の量が不足すると、疲れやすく、倦怠感や抵抗力低下が起こります。高麗人参は体のエネルギーを増やすことによって、体の抵抗力や自然治癒力を高めると考えています。
【高麗人参には自然治癒力を高める多くの薬効成分が含まれている】 【健康食品】
体の抵抗力や自然治癒力を高める高麗人参の作用は、一つの成分によるものでなく、多くの成分が関与していて複雑です。 治癒力を高める代表的成分はサポニンと呼ばれる物質です。 サポニンは英語で、フランス語ではシャボンといい、泡立つものという意味です。サポニン自体はいろいろの植物に含まれていますが、人参サポニンはジンセノサイドというステロイドホルモンと似た構造をもつサポニンが主成分で、10種類以上のジンセノサイドが知られています。 種類によってその薬理作用は異なり、一つの成分が同じ組織においても複数の作用を示すなど、薬用人参全体で極めて複雑な薬理作用を呈する理由の一つになっています。
人参サポニンは蛋白合成を促進し、新陳代謝と免疫力を高めます。人参サポニンの中には腫瘍細胞を殺し、転移を抑制するものも報告されています。サポニンには抗酸化作用もあり、腫瘍物質による遺伝子の変異を抑える作用(抗変異原性)を持つ人参サポニンも報告されています。また細胞膜と反応して細胞膜上のレセプター(受容体)などの蛋白と作用して細胞の機能にも作用します。サポニン以外にも、セスキテルペンなどの精油成分、多糖体、ペプチドグリカン、アミノ酸、ヌクレオシドなども種々の効果に関連しています。
薬用人参は、虚弱体質の胃腸疾患に用いられる漢方薬には人参が配合されていますが、消化吸収機能を高め、体力や抵抗力を高めて種々のストレスに対する適応能力を高めることができるので、虚弱体質自体を治す効果も期待できます。このように複数のメカニズムで体の自然治癒力を高めるような西洋薬はありません。